すばらしき世界

2021年公開、監督西川美和、主演役所広司

 

 役所広司の演技力あっての映画であったと思う。映画の内容は13年の刑期を終えた主人公、三上正夫が塀の外の世界で必死に生きようとする話、主人公の人間性こそ、この映画の重要なポイント。正義感があり、自分に正直で、しかし暴力でしか自らを表せない愚かな男という複雑な役を、しかし役所広司は見事に演じていた。

 ところでこの映画、扱うテーマが少しわかりずらい。主人公の境遇から、出所後の生きづらさを描いた作品なのかと思ったが、彼が社会復帰を目指す中で、様々な社会問題に直面する。外国人労働者に関する問題、障がい者雇用の問題、育児に関しての問題も主人公の生い立ちに大きく関係している。しかし、この映画では一見バラバラに思えるこれらの問題が、主人公の目線を通して一つのテーマを映し出している。

 そんな中でも印象的なのは、就職を決めた主人公に対し、登場人物たちが教えた「正しさ」。このシーンからその後の結末を踏まえて。視聴後はこの映画が提示した「正しさ」について考えるばかりだ。

 

スペース カウボーイ

 

2000年に公開。監督、主演は共にクリント・イーストウッド

 

1958年。フランク・コービン(イーストウッド)率いるアメリカ空軍の“チーム・ダイダロス”の4人は、宇宙飛行のため厳しい訓練に耐えていた。しかし、直前になってそのプロジェクトをNASAが遂行。アメリカ初の宇宙飛行士は一匹のチンパンジーになった。それから約40年。NASAからフランクのもとに、故障したロシア衛星を修理してほしいと連絡が入る。彼はこの任務のためにかつての仲間達を集め始める。

 

出典:スペース カウボーイ : 作品情報 - 映画.com

 

 

クリント・イーストウッドが監督・主演を務める作品は高校生の時に「グラン・トリノ」を見た時以来。それまでに見た作品も「ミリオンダラーベイビー」などだったので彼の作品のイメージといえば、見ていて辛くなるような、後味の悪いラストが印象的でした。だからこそ、この作品にはそういった要素がないのが意外。クリント・イーストウッド監督は公開当時、70歳、老いてなお夢を追う主人公の姿は、監督であり主演っでもあるクリント・イーストウッドの演技とよくマッチしていた

 

クレジット上での主演はクリント・イーストウッドだが、それを追う勢いであるトミー・リー・ジョーンズの活躍も素晴らしい、主人公のかつての親友で劇中で唯一ヒロインが存在し、エンディングも彼を中心に話が進む。特にクライマックス、チーム・ダイダロスのピンチに自らの体と自らの夢をかけて主人公を助けるシーンは最高。勿論、チーム・ダイダロスの他二人のメンバーの軽いジョークなんかも可愛い感じ。終始、愛らしいおじいちゃんたちが活躍する映画。また見たいと思えるタイプの映画でやっぱり、クリント・イーストウッドの作品の中では異質なのでは。

 

 

 

 

ディストラクションベイビーズ

「O.K牧場の決斗」が見たい。

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  • 2021年3月2日の「午後ロー」でやってた。実は西部劇見たことないからね、保安官と流れ者が登場する世界って見てみたい。でも動画配信サービスで取り扱いがない。TUTAYAなら置いてんのかな。

 

ので代わりに「ディストラクションベイビーズ」を見ました。

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2016年公開。監督は真利子哲也。商業監督デビューがこの映画らしい。主演は柳楽優弥に脇を菅田将暉小松菜奈といったTHE・若手実力派が固める。若者たちの危うさとか繊細さが描かれる青春群像劇...らしい。けどあんまり期待して見たわけじゃなかった。

 

「邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん」

最近知って読み始めた漫画。

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あらゆるジャンルのビミョーな邦画を紹介して好き勝手言ってる漫画。ここで「デストラクションベイビーズ」が紹介されていた。曰く「柳楽優弥がぶらつきながら人ボコボコにする映画」とのこと。こんな意味不明な紹介文でも「邦キチ」の中ではまともな方の映画に見えたので視聴してみた。

 

感想

大方漫画の通りですやんか。ただ予想異常に柳楽優弥の演技がヤバイ。大体4,50分、彼の暴行シーン(セリフや音楽などなし)を見せられるけど、全く退屈しない、見れば見るほど彼のギラついた眼光と佇まいに惹かれてしまう。なんなら2時間これ1本の映画でも見れたかもしれん。もちろんそんなことはないので、中盤から菅田将暉小松菜奈が登場、これまたヤバイ演技を披露。絶叫を上げながら小松菜奈が殴られ殴り。この前、「糸」を見たばっかなのに...。

 

終始暴力が画面を占拠し、会話劇なんぞ一つもない。ストーリーだけ振り返ると驚くほど虚無な映画なのだが、見てる分には楽しめた。邦画を見る際に、俳優の演技がいかに大事かわかったかも。

 

映画いろいろ見た2

一日最低1本は映画をみるようになった今日この頃。合わせて感想をかければ問題はなかったが、どうにも難しい。のでこのようにたまにまとめて出す。

 

ソードフィッシュ

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 2001年公開、監督はドミニク・セナ。主演はヒュー・ジャックマン。スーパーハカーのヒューがハル・ベリーやらジョン・トラボルタに騙し騙されのサスペンスアクション。冒頭のバレットタイムマトリックスの360度写すやつ)を使った爆破シーンとか空飛ぶバスとか映像の迫力は抜群。ストーリーも当時の最先端っぽいハッキングについてあれこれして大金を動かす話、ラストもなかなか痛快な。でもやっぱりハッキングの演出とか6面マルチモニター(使ってるのは1面)とか突っ込みどころはある。こればかりは時代だから仕方ないよね。

 

・バーフバリ 伝説誕生

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 2015年公開。無性にノリの良い映画が見たくなり、インド映画 、バーフバリと連想して視聴。期待通りのはちゃメチャ映画で満足度たかーい。見る神話て現代に作れたんですね。迫力ある映像がウリの映画、ただ映像技術が凄いわけではない、むしろ合成やCGは若干荒い。マンパワーの暴力というか気合入った役者万単位で用意して一斉に動かすような、そこにインド映画特有のいけてる音楽。最新のCG加工だけが映画じゃないなと思いました。

 

・パーフェクトストレンジャー

2007年公開。主演はハル・ベリーのサスペンス・スリラー...らしい。序中盤は若干眠かったけど終盤になって展開が早くなった、というかジャンルが変わったようにさえ感じる。中盤あたりで犯人?はなんとなく分かるシナリオとかネット上のチャットで会話するシーンでのお茶目な演出とか良いね。あんまし期待してたブルース・ウィルスと違ったのだけ不満です。

「マイル22」

 2018年公開。ピーターバーグ監督作品。

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  前半のテンポにあまり乗り切れない。主人公が神経質なキャラクターのは分かるけど、くどい。そこは説明があるからまだ良いけど、脇役まで神経質なんだなこれが。会話のほとんどが嫌味か皮肉か文句じゃない。後半に入ってアクションが充実し出した。主人公は相変わらずイライラしてるだけだったけど、全体的にドラマの延長、テレビスペシャル?みたいな展開とテンポ。あるいは初めからドラマとしてみたら面白いかもしれん。

「ミスト」

言わずと知れたパニックホラーの金字塔。原作はスティーブンキング、フランク・ダラボン。前々から見たいと思ってたがホラーが苦手なことと物語の結末に関して聞くと、みな口を揃えて「あのラストはねぇ...」なんて含みのある言い方をするものだから、怖気付いてしまっていたのだ。そこへ午後ローが流してくれました。ありがたい。

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・見た感想。あのラストはねぇ...胸糞悪いねぇ。映画オリジナルのラストらしいが、称賛する原作者は、サドなんじゃないかな。

 印象に残ってるキャラクターは宗教ババア!この手の映画の中じゃトップクラスにムカつく上にまぁスカッと死ぬわけでもない。その反対に主人公の人間らしさ、父親らしさは応援したくなる、だからこそあのラストはねぇ...。そういう登場人物のクセの濃さ含めて緊迫した閉鎖空間という状況下での人間関係の演出が素晴らしい映画でした。

 

「バイオハザード3」

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 前作、前々作に比べると主人公の扱いが大きくなった感じがする。1,2に比べて脇役の死亡シーンが記憶に残らなかった。2から続投したキャラが死んだのに。その分、ミラ・ジョボビッチのアクションのボリュームは増えてるし、質も上がっていた。多分、ゾンビが走ったり、運動性が上がったおかげもあると思う。ラクーンシティから砂漠が舞台になった理由やら増える主人公やら多少強引で唐突な設定はあったけど、原作の設定を見てたら、気にならないというかまだマシに感じる。ただ一つゾンビの走りのフォームがあまりにも綺麗で笑った。そういう部分がホラー映画の要素をかなり消してる。これホラーじゃないアクションだ。